床ずれ防止用具・体位変換器
種類と選ぶポイント
床ずれ防止用具 の選び方
床ずれの予防
- 身体状況の確認
- 床ずれの3大要因「栄養」「圧力・ズレ」「皮膚の湿潤(ムレ)」等の過去と現状と今後を確認しましょう。
- 社会資源の質と量の把握
- 床ずれ防止用具を利用する前に、ご利用者の認識状態、周囲の状況並びに介護ベッドの機種の再確認など、床ずれ防止用具を利用しなくてすむ方法も考えてみましょう。
- レベル別の選定と、他福祉用具との整合性
- 要因・状況を把握した上で、レベル別に機種選定し経過を観察しましょう。
また、相乗効果を視野に入れ、他福祉用具との整合性を考慮することも必要です。
※ブレーデンスケール等の床ずれ発生リスクデータなどを参考にすることも重要です。ご注意
- 正確な原因・要因の特定により、安易なエアマットレスや特殊マットの選定をし、寝たきり促進に繋がるような機種選定にはご注意下さい!
- 床ずれ防止系福祉用具を使って安心すること無く、体位変換器(P.42~)との併用を是非ともお奨めします。
- 床ずれは状態に合わせて4つのステージに分けられます。
-
ステージI
指で押しても、白くならない紅斑。局所的に熱感が見られる場合もある。
ステージII
表皮はく離、水泡、浅い損傷などの表皮損傷。
表皮と真皮の一部を含む。ステージIII
深いクレーター状の全層に至る皮膚損傷。
筋膜には達していない。ステージIV
組織の破壊がみられる。
深い全層に亘る皮膚損傷。
筋肉、骨等に及ぶ。
床ずれ防止用具の種類
静止型除圧マットレス
普通のマットレスと同じ感覚で使える体圧分散の良い静止型マットレスです。一般的に安定感があり、不必要に体動を妨げません。予防段階や初期段階の方などに。「高反発」・「正反発」・「低反発」など、各種スペックの商品群があります。
エアマットレス
エアポンプによりエアセルが膨らんだり縮んだりを繰り返し、体圧を分散させます。
圧力の切替により部分的な圧迫を取り除く、「圧切替型」と自力で動けない方のための「体位変換型」があります。床ずれリスクの高い方などに。
総括
床ずれ防止用具の選定については、残念ながら明確な答えはありません。
明確なファシリテーションのもと、的確な時期の経過観察と再評価などにより、再シュミレーション(再選定)を実施しましょう。
床体位変換器 の選び方
ポジショニングの基本
身体を 頭・胸郭・骨盤・両腕・両足 という7つの部位として考えると、姿勢によって各部位にかかる重さは違います。私達人間はそれを筋肉によってバランスをとり、姿勢を保っています。筋力が低下している場合、身体の重さをうまく動かしてバランスを取る事ができず、その状態で重力が長時間かかり続けることで、褥瘡や拘縮のリスクも高くなります。この身体の重さをどこかの支持面にあずけさせてバランスを取る能力をサポートするのがポジショニングの考え方の一つです。
バランスを取る事から解放されれば、筋力を身体の各部位を動かすことに使えるようになるのです。
ポジショニングの目的
- 床ずれ防止
- 拘縮・変形防止
- 浮腫の改善
- 呼吸の改善
- 筋緊張の緩和と調整
- 姿勢の安定により活動を促す
- 座位や立位の準備として
これらの目的から、ポジショニングは大きく2つに分けられます。
- 身体を安定させ保持する。
- 動きを促進し能力や可能性を広げる為に支持する。
補助用具選び方
広い面をサポートするもの(保持)
ウレタンやビーズなど身体の形状にフィットして広い面をサポートするもの。
※接触面が多いということは、汗をかきやすくなりますので、通気性に優れたものや洗浄できるものが良いでしょう。
次なる動きを期待するもの(支持)
少し硬めでしっかり感がある素材を用いたもの。
やわらかすぎる素材のものは、身体がどこまでも沈み込んでいくような感覚があり、療養者の方に不安定感と疼痛を与えてしまうので、適度なしっかり感が必要なのです。
選定のポイント
体位変換器に関しては、硬さや形状などの素材の性質を考慮して使用しましょう。
また、専門家に相談するなどして、症状や目的に合った物を選択し各種専門職によるチームアプローチによる症状の改善・緩和と評価を実施しましょう。
ボディメカニクスとキネステティク理論
【ボディメカニクス】
物理や力学の原理(てこの原理など)を応用し、無駄な力を使わずに重心や支持基底面を考えて利用することで、小さな人でも大きな人を楽に動かせるという、介護に携わる者としては最低限身に付けておきたい技術の一つです。これによって、ご利用者に対しより安全で安楽な介助を提供できるとともに、介助者自身にかかる身体的負担(腰痛など)を軽減することができます。
【キネステティク】
重力が同じように長くかかり続けることで、変形や拘縮が進みやすい状況を作ります。重力×時間の弊害を減らすために、少なくとも2時間ごとの体位変換が推奨されています。しかし、重力が変形や拘縮を助長したのであれば、逆に重力を使って改善に向かわせることも可能なのです。 重力やご本人の自然な動きに合わせることで、介助者にもご利用者にも安楽なポジショニングができます。
※ 意味のない詰め込み行為に注意が必要です。
※ 詳しくは、理学療法士などの専門家にお問合せ下さい。
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